SPMで位置合わせする方法は2つあります。
- Realign: これは同じモダリティで位置合わせする場合に選びます。主に fMRIやPETの位置合わせに用いられます。
- Coregister: これは別のモダリティで位置合わせする場合に選びます。
ここでは、Coregister について述べます。
Coregister は基本、「剛体変換」です。つまり、回転と平行移動だけ行います。なので、使いたいシーンとしては、「同一人物の T1強調画像と SPECT画像を位置合わせしたい」 といったときとなります。応用編として私がよく使っているのは、個々人のT1強調画像を、MNI152の画像にcoregistrationするということです。これにより、簡易的なAC-PCの位置合わせを行えます。
SPMでは、Coregisterは3つの選択肢があります。
- Estimate: これは、位置合わせをしたい画像のヘッダーのみ変更します。リスライスは行われません。
- Reslice: これは、画像を、参照画像のボクセルサイズにあわせてリスライスします。これだけ選ぶだけでは位置合わせは行われません。
- Estimate & Reslice: 上記の2つを行います。
私は以下のように使い分けをしています。
- 原則は、「できるだけResliceは行わない」です。なので、AC-PCあわせの目的などにCoregisterを使った場合、Resliceは行いません。
- Resliceを行う時は、入力画像の dimension を揃えなくてはいけない時などに限っています。
それでは、実際にどうするかを示します。Estimate & Resliceを説明すれば全部説明することになるのでそれを説明します。
- SPMから、左上の “Coregister Est & Reslice” を選択します
- そうすると、設定画面が表示されます。
- ひとつひとつ見ていきます。
- Reference Image: ここに、「位置合わせの基準となる画像」を入れます。こちらは動かない方です。位置合わせをされたい方とも言えるでしょうか。
- Source Image: ここに、「位置合わせしたい画像」を入れます。こちらは動く方です。位置合わせをする方です。
- Other Images: もし、Source Imageと全く同じdimensionの画像があったらここに指定したら同時に位置合わせがなされます。
- Estimate Options: これはデフォルトのままでいいと思います。Objective Function (目的関数) は Normalized Mutual Information でたいていうまくいきます。
- Reslice Options: これはInterpolationをものによって変えていきます。
- Interpolation: リスライスする場合のデータの補完方法です。もし、アトラスなどをリスライスする場合は nearest neighbour を選びます。MRIやPET画像ならば規定のままでいいでしょう。
- Wrapping: これはデフォルトのまま No wrap で大丈夫です。
- Masking: これも通常はDon’t mask imagesを選びます。
- Filename Prefix: デフォルトでは、ファイル名の頭に ‘r’ がつきます。これによって resliceされた画像と認識できます。
これで実行すれば、Source Image に ‘r’ がついた画像が生成されます。
ご丁寧に説明していただき、ありがとうございます。
こちらの手順を行いましたが、位置合わせをした画像を表示させる方法も教えていただけますでしょうか。
SPMのメニュー(左上のウィンドウ)にあるCheckReg を使って、複数の画像を指定すると、それらの位置合わせを確認できます。