SPM12から搭載された灰白質、白質、脳脊髄液容積算出機能

SPM12では、灰白質(GM)、白質(WM)、脳脊髄液(CSF)容積もプラグインなしで算出できるようになりました。

まず、segmentationを行います。そうすると、seg8.matというファイルができます。これには、MRIをGM, WM, CSFにどのように分割したかという情報が入っています。
SPM12ではこれを用いて、これらの容積を求めることができます。

SPMのBatch editorを起動し、メニューから、SPM -> Util -> Tissue Volumesと選択します。

tissue_volumes1

そうすると、下図のような内容が出てきます。

tissue_volumes2

Segmentation mat-files: ここにseg8.matを指定します。
Maximum tissue class, Mask image: これはともにデフォルトのままでOKです。
Output file: 適当な名前をつけましょう。私はTissue_volumesという名前をいつもつけています。

これで実行すると、Matlab上に

Running 'Tissue Volumes'

Segmentation files:
	/home/kiyotaka/img_data/ID001_seg8.mat
	/home/kiyotaka/img_data/ID002_seg8.mat
	/home/kiyotaka/img_data/ID003_seg8.mat

Volumes (litres):
    0.8050    0.5908    0.3279
    0.8012    0.5897    0.3340
    0.7893    0.5739    0.3914

Done    'Tissue Volumes'
Done

といった内容が出力され、ワーキングディレクトリにTissue_volumes.csvというファイルも作られています。

一目瞭然ですが、左から順にGM, WM, CSFがリットルで表示されています。
これをすべて足せばICVになるわけですね。便利ですね。

SPM12から搭載された解剖学的名称の同定

この内容は、以前、東大の小池先生から教えていただいた内容です。
まとめるのが遅くなりましたが、まとめてみました。

すぐできるVBMでは、Anatomy Toolboxを使って結果の解剖学的位置の同定を行いました。執筆時点では知らなかったのですが、SPM12から、プラグインを導入しなくても、解剖学的位置を簡単に知ることができるようになりました。

まずは、SPMで結果を出します。

その時、SPMの左下のウィンドウに、下図に示すように、Atlasというメニューが新しく出るようになりました。これを選んで、Label using -> Neuromorphometricsと選択します。

labels1

そうすると、右のSPMの座標が表示されている表の、座標のところを右クリックすると、その座標がどのくらいの確率でどの場所かということが表示されます。
今の場合、座標 [0 26 40] は、21.4%の確率で、左上前頭回内側面、18.0%の確率で右上前頭回内側面、16.2%の確率で左補足運動野ということがわかります。(x軸の座標が0なので、左右どちらもあります。例があまりよくなかったですね…)

labels2

さらに、これは、結果の表だけでなく、Sectionなどで画像を表示したときも利用することができます。

Overlays -> Sections で、画像を表示した後に、画像の上で右クリックをするとメニューが出てきます。

そこで、Display -> Labels -> Neuromorphometricsと選択していきます。

labels3

そうすると、画面にその座標が表示されるようになります。

ちなみに、同じDisplayの中にあるcoordinateを選ぶと座標が表示されますし、Fileを選択すると、背景に使った画像のファイル名が表示されます。

SPMの結果の上での右クリックはバージョンがあがるにつれ、様々な機能が追加されていますので、時間があるときに試してみると発見があります。

ということで、小池先生、遅ればせながらありがとうございました。