Lin4Neuroのアップデート (31 Mar 2017)

Lin4Neuroのアップデートを行いました。

主な更新点は以下になります。

  • Ubuntu 16.04をベースにするバージョンを発表しました。(ただし、インストーラーにバグがあるため、現在調整中です。)Ubuntu 14.04版も続けてメンテナンスしていきます。
  • 画像解析ソフトをすべて最新バージョンにアップデートしました。
  • GitHub上にLin4Neuroを作成するスクリプトを公開しました。
  • https://github.com/kytk/lin4neuro-xenial

    これを用いればLin4Neuroを自分の使いたいようにカスタマイズしていただくことも可能かと思います。

  • 起動時画面のロゴに少し修正を加えました。Lin4NeuroがUbuntuのどのバージョンに基づいているかがひと目でわかります。

最新版のLin4Neuroは こちらからどうぞ。

Update of Lin4Neuro (31 Mar 2017)

Lin4Neuro is updated.

  • Now Lin4Neuro is based on Ubuntu 16.04. (I’ll keep maintenance of 14.04 Version too)
  • All of the neuroimaging software packages are up-to-date.
  • Building scripts of Lin4Neuro is publicly available on GitHub.
  • https://github.com/kytk/lin4neuro-xenial

    You can make your version of Lin4Neuro based on the repository above. I wrote instruction how to use in the repository.

  • I made some changes to the Lin4Neuro logo on splash. You will find L4N you are using is based on Ubuntu 14.04 or later.

You can download the latest Lin4Neuro from here.

BashからMatlabスクリプトを実行する方法

先日、ある方と「BashからMatlabを呼び出せないだろうか」という話をしていました。もし、これができたら、シェルスクリプトから、Matlabを呼び出せるので、シェルとMatlabを完全に連携できるわけです。

結論としては、以下でできました。

  • Short answer
  • Matlabのスクリプト名を sample_code.m とすると、以下でできます。

    $ matlab -nodesktop -nosplash -r 'sample_code; exit'
    

    コツは2つです。

  • スクリプト名ではなく、コマンドとして指示するため、.mは外す
  • Matlabから抜けるために exit を追加する

続きを読む

シーケンスを自動判別し、ファイル名を自動リネームするDICOM→NIFTI変換スクリプト

本日、第19回ヒト脳機能マッピング学会で発表したのですが、ブログのタイトル通り、シーケンスを自動判別し、ファイル名を自動でリネームするDICOM→NIFTI変換スクリプトを書いてみました。

MacおよびLinuxに対応しています。

必要なソフトウェアは以下の2つです。

  • MRIcron
  • パスが通っていることが必要です。

  • FSL
  • FSLも同様にパスが通っていることが必要です。

このスクリプトは以下から入手可能です。(右クリックで「名前をつけて保存」で保存できます。)

https://raw.githubusercontent.com/kytk/shellscripts/master/ren-dcmcnv.sh

  1. インストール
  2. インストールですが、パスが通っているディレクトリに保存していただくだけです。

  3. 使い方
  4. 使い方はとてもシンプルです。

    • フォルダの準備
    • 最初に、作業用フォルダを準備します。その中に、各被験者のフォルダを準備します。フォルダ名がとても重要です。このスクリプトはフォルダ名をファイル名のベースに使うからです。
      たとえば、被験者IDがsubj01ならば、フォルダ名をsubj01とします。その中にその被験者のDICOMファイルをすべて放り込みます。(ディレクトリ構造になっていてもなっていなくてもかまいません)

    • スクリプトの実行
    • ターミナルを起動し、作業用フォルダに移動します。

      そして、以下をタイプします。

      $ ren-dcmcnv.sh
      

      これだけです。

    • スクリプトが行うこと
    • スクリプトは以下のことを行います。フォルダ=ディレクトリです。

      1. ワーキングディレクトリに “DICOM”, “nifti” ディ
        レクトリを作成します。
      2. wd内にできたDICOMディレクトリに移動します。
      3. DICOM ディレクトリ内で dcm2nii を実行し、NIFTIファ
        イルを生成します。
      4. fslhd を用いてNIFTIファイルのヘッダー情報を取得します。
      5. 以下のルールに基づき、3次元T1強調画像、fMRI画像、DTI画像を判別します。
        • 3次元T1MRI: 画像の第2次元≧256, 第3次元>100, TE<6msec; (V_)
        • fMRI: 画像の第4次元>100; (F_)
        • DTI: 画像の第4次元が8以上100 未満 (D_)
      6. ディレクトリ名を取得し、ファイル名のベースとし、それぞれの接頭辞に識別記号を付加します。
      7. 変換したファイルをniftiディレクトリに移動します。

よかったら試してみてください。

MacOS上でSPM12のフォントの上半分が切れる時の対処法

先日、VBMチュートリアルにて、ある質問を受けました。

「MacのSPMでファイル選択の時にフォントの上半分が切れてしまうんですけど、解決法はないですか?」

具体例を示したほうがわかりやすいので、以下に示します。ファイル選択画面でこうなります。

これは気持ち悪いですよね。

いろいろ調べました。

その中で、どうも、spm12/matlabbatch/private の中にある
cfg_mlbatch_defaults.m

の中でフォントを規定しているようだというところにチュートリアルの最中に気づきました。

そして、今日、少し調査してみました。
SPMのバッチはSPM単独ではなく、Matlabbatchというものを使っているという知識はありました。

なので、GoogleでMatlabbatch font で調べたところ

以下の記事を見つけました。

https://en.wikibooks.org/wiki/SPM/Installation_on_64bit_Windows

その下にこんなことが書いてありました。

Edit spm/matlabbatch/private/cfg_mlbatch_defaults.m and modify lines:

cfg_defaults.cfg_ui.lfont.FontName = ‘Arial Narrow’;
cfg_defaults.cfg_ui.bfont.FontName = ‘Arial Narrow’;

Arial NarrowはMacにもあります。試してみました。

具体的には、cfg_mlbatch_defaults.m を開き、23行目にある

‘FontName’,get(0,’FixedWidthFontName’),…

‘FontName’,’Arial Narrow’,…

に変えます。

それで保存して、SPMを起動して、ファイル選択画面を出したところ…

フォントが綺麗に表示されるようになりました!

フォントがきになる方は試してみる価値があるかと思います。

ちなみに、ui.bfontの方は変えない方が良かったです。

CONN 17a のバグとその解決方法

CONN17a において、何人かからうまく動作しないというご連絡をいただきました。

以下のようなエラーメッセージが出ます。

Error using conn_process (line 763)
duplicated ROI name atlas.Vermis 10
Error in conn_process (line 15)
case 'setup', disp(['CONN: RUNNING SETUP STEP']); conn_process([0:4,4.5,5]);

調べた所、以下のバグが報告されています。

https://www.nitrc.org/forum/forum.php?thread_id=7356&forum_id=1144

解決策として、以下のリンクからrex.mをダウンロードし、CONN17aにあるrex.mに対して上書き保存してください。

rex.mをダウンロード

FSLのGLMで対応のあるt検定のdesign matrixを作成・修正する方法

私がもっているデータのひとつに縦断DTIデータがあり、東京都健康長寿医療センターの下地先生が包括脳/ABiSチュートリアルで教えてくださっているTBSSを用いて解析を行っています。(下地先生は非常にわかりやすい講義をしてくださることで人気の先生です。)

GLMでDesign matrixを作成する時にひとつ困ったことに遭遇しました。

FSLのGLM Wizardでは、対応のあるt検定のDesign matrixを簡単に作成することができます。

続きを読む

SPM12でestimateに失敗するとき (SPM12 r6906のバグ)

SPM12で、ひとつバグがあることがわかっています。
モデル作成の時に、maskにexplicit maskを指定すると、estimateができずに失敗するというものです。

以下のようなエラーが出ます。

Running ‘Model estimation’

SPM12: spm_spm (v6842) 11:34:04 – 25/11/2016
========================================================================

SPM12: spm_est_non_sphericity (v6827) 11:34:05 – 25/11/2016
========================================================================
Failed ‘Model estimation’
存在しないフィールド ‘xVol’ を参照しています。
In file “/Users/psymacpro3/Documents/MATLAB/spm12/spm_est_non_sphericity.m” (v6827), function “spm_est_non_sphericity” at line 105.
In file “/Users/psymacpro3/Documents/MATLAB/spm12/spm_spm.m” (v6842), function “spm_spm” at line 431.
In file “/Users/psymacpro3/Documents/MATLAB/spm12/config/spm_run_fmri_est.m” (v5809), function “spm_run_fmri_est” at line 33.

The following modules did not run:
Failed: Model estimation

これは、バグであることが知られており、解決方法として、spm_est_non_sphericity.mを差し替えることが推奨されています。

下記リンクのものをダウンロードし、SPM12のフォルダに上書きしてください。
これで問題なくなります。

バグフィクスされたspm_est_non_sphericity.mをダウンロード(右クリック→名前をつけて保存で保存してください)
リソースはこちら:
https://www.jiscmail.ac.uk/cgi-bin/webadmin?A2=spm;2c0ae193.1611

SPM12のアップデート(6906)が公開されました

SPM12のアップデートが公開されました。
今回のアップデートでMatlab R2016a日本語版でSPM12が起動しないバグが解消されています。

SPM12をすでにインストールされている方は、Matlabからの簡単なコマンドでアップデートできます。spm_update(1)とタイプするだけです。

spm_update(1)
         A new version of SPM12 is available on:
   http://www.fil.ion.ucl.ac.uk/spm/download/spm12_updates/
        (Your version: 6685 - New version: 6906)
          Download and install in progress...
         Success: 2152 files have been updated.

CONNチュートリアル 14: QA (Quality Assurance)

これは本来は、First-level Analysisをやる前に確認しておくものですが、忘れたので、今、書きます。

first-level Analysisで結果を確認したとき、サンプルデータのSubject 16において、以下のようにDMNではなく、かなり変な結果になりました。

これはおかしいですね。

改めてSetup -> Covariates 1st levelのところにいってscrubbingの結果を確認すると、
ほとんどすべてが外れ値と判定されていることがわかります。

conn052

ちなみに、次のSubject, Subject 17の結果を見れば本来はこの程度ということがわかります。

conn053

このscrubbingの話は、いつかもう少し詳しくしますが、要するに、頭が大きく動いてしまっているボリュームを検出する機能です。CONNは適切な結果を得るために、scrubbingにひっかかったボリュームは取り除いて解析します。今、Subject 16に関しては、ほとんどすべてが外れ値だったために、時系列の相関を計算するのに十分なボリュームがなくなってしまったわけです。

そこで、改めて、Quality Checkをします。CONNのチュートリアルでは、QCではなく、QAといっていました。Quality Assuranceの略ですね。興味深かったので、そのままにします。

QAのひとつは、Setup – Covariates 1st-levelでscrubiingを見ることでできます。

今、見た所、Subject 16, 19の2つがかなり外れ値が多い状況です。
(以前の投稿では、4被験者でしたが、外れ値の判定をゆるくしたことで、Subject 16, 19以外はOKと判断しました)

なので、このSubject 16, 19は取り除きたいと思います。

普通、このような場合、解析を最初からやらなければいけないのですが、CONNのものすごい親切なところは、Setup – BasicでSubject数を減らすと、取り除くSubjectを聞いてくれるのです。

なので、Setup Basicに戻り、今の20例から2例をひきますので、Number of Subjectsを18に変更します。

そして、Enterを押すと、新しいダイアログが出ます。

ここで、取り除きたいSubject 16と19を選択します。複数選ぶ場合は、Ctrlキーを押しながら選択することで、選択できます。

これでOKを押すと、「本当に消してもいいの?回復できないよ」と確認されます。

これでOKを押すと、しばらく何も起こらないように見えますが、MatlabのWindowを見ると、何やらいろいろコピーしているのが見えます。

conn057

終わりましたら、改めてSetup -> Covariates 1st-levelを見てみましょう。
Subjectが18に減っているのがわかると思います。

こればかりでは、ありません。Setup -> Covariates 2nd-levelを見てみてください。
なんと、先ほど設定したCovariateで削除した2例分がきちんと削除されているのがわかります。
これはとても便利ですね。(また、本論から外れますが、covariate 2nd-levelの項目が増えていますね)

最後に、first-level Analysisに戻りましょう。
もちろん18例のデータだけで構成されていることがわかります。

このQAは本来は、Preprocessingの後にすべきことです。上記のようにCovariatesも処理してくれるので、Covariates 2nd-levelを設定した後で、このQAをするといいのかもしれません。

CONNチュートリアル 13: first-level Analysis: ROI-to-ROI & Seed-to-Voxel

(2017.11.26: 追記しました)

Denoisingが終わった後、first-levelの画面に来ます。
first-levelということは、

個人のfunctional connectivityを見る

ということになります。

最初は、下のようなものしか見えません。

ROI-to-ROIとSeed-to-Voxelがひとつ
Voxel-to-VoxelとICA networksが次にきて、
最後にdynamic ICAがきます。

まずは、ROI-to-ROI, Seed-to-Voxelを見ていきましょう。

ROI-to-ROIをクリックします。

ここでは画面の右側でいろいろなことが確認できますので、右側のスクリーンショットで説明します。

上にある “Preview first-level analysis results”
の下に領域を選ぶことができます。

この領域は “Seed” になる領域です。

まず、わかりやすく、デフォルトモードネットワーク(DMN)を確認してみましょう。

atlas.FP r のところをクリックすると領域が多く出てきますので、スクロールして、”networks.DefaultMode.PCC (1,-61,38)”を選択してください。

画像が見えているところの右側にマウスをもっていくとスクロールバーがあらわれますので、適宜スクロールしていただくと、確かにDMNっぽい感じで見えます。

ただ、これは色がつきすぎの感じがしますね。

画面下を見ると threshold 0.25 と見えます。
これは、今の場合Default Mode NetworkのPCCと相関係数0.25以上の関係にある領域を描出しているということになります。

この値を変えてみることで変わります。

そして、一番右側にあるSubjectsを適宜クリックしていくと、各個人のDMNの様子を観察することができます。

続いて、どんな解析をしていくのかを決定します。

画面中央をご覧ください。

ここに

Analysis type
Analysis options

とあり、それぞれ2項目設定する必要があります。

  • Analysis type
  • ここで、何の解析をするかを決定します。デフォルトは、”functional connectivity (Weighted GLM)” となっています。このままで大丈夫です。もし、Psychophysiological interaction (PPI)などをしたい場合は、変更します。

    その下の段のデフォルトは、”ROI-to-ROI analysis only” となっています。ここをクリックすると、”ROI-to-ROI” と “Seed-to-Voxel”を選ぶことができるのがわかります。いろいろな結果を見てみたいので、”ROI-to-ROI and “Seed-to-Voxel”をここでは選んでいます。

  • Analysis options
  • ここでは解析のオプションを指定します。上段の選択肢は4つ、”correlation (bivariate)”, “correlation (semipartial)”, “regression (bivariate)”, “regression (multivariate)” となります。 2変量の相関係数、半偏相関係数、2変量の回帰分析のβ, 多変量回帰分析のβということですね。どんな解析をするかによって異なります。今回は、シンプルにデフォルトの2変量の相関係数とします。

    その下の段のデフォルトは、デフォルトの no weighting で大丈夫です。タスクfMRIの時にここを変える必要が出てくると私は理解しています。

次に、画面左側の Voxel-to-Voxel をクリックします。

そうすると、画面中央が下のような図になるはずです。

  • Analysis type
  • ここでは、主成分分析、独立成分分析、MVPA、ALFFの計算などができます。
    私は、独立成分分析 (ICA) を行ってみたいので、Analysis typeの下をクリックして、”Group ICA” を選択しました。

  • Number of factors
  • これは、独立成分分析の際のFactor数です。デフォルトの20のままにしました。

  • Dimensionality Reduction
  • これは、独立成分分析を行う際に、connectivity matrixの次元を落とすというものです。デフォルトの64にしました。

その下に dyn-ICA circuits (dynamic ICA circuits) がありますが、ここは正直私の手にはおえないので、何も変更しませんでした。

このうえで、左下のDoneをクリックします。

そうすると、first-level Analysisの解析が行われます。

CONNチュートリアル 12: Denoising

Setupがすべて済んだらDenoisingです。

正直、ここはすべてデフォルトのままで大丈夫です。
ただ、ひとつひとつ確認する価値があります。

確認ポイントはいくつかあります。

  • 左の “Confounds” をご覧ください。ノイズを減らすために、白質、CSF、realignment, scrubbingの情報を使っています。
  • 左下にはバンドパスフィルタの情報がのっています。
  • 一番右のSubjectsを選ぶことで、各個人のデータがどのようにノイズが減るのかがわかります。
  • ヒストグラムで、実際にデータがどのようになるのかが直感的に理解できます。灰色のヒストグラムがDenoising前、黄色のヒストグラムがDenoising後です。
  • ヒストグラムの下はボクセル同士のconnectivityがDenoisingによってどのように変化するかを示しています。これを見ると、ノイズによる見せかけの相関が減っていることがわかります。
  • 相関グラフの下は、BOLD信号のタイムシリーズの信号値がDenoisingによってどのように変化するかを示しています。

これをひと通り確認したら、左下の”Done”をクリックしてください。
先ほどのOptionsの時と同じ画面が出ますので、 “Start” で処理がはじまります。

CONNチュートリアル 11: Setup – Options

Setupの最後のところまで来ました。

最後はOptionsです。

ここは、デフォルトのままで大丈夫です。

ここまでいったら、一度保存しましょう。

左上の Project -> Save で現在のプロジェクトを保存できます。

そこまでいったら、左下の “Done” をクリックしてください。
そうすると、下のような画面が出てきます。

デフォルトのままで結構です。
Startをクリックすると処理がはじまります。
しばらく時間がかかりますので、その間、ちょっと休憩です。

CONNチュートリアル 10: Setup – Covariates 2nd-level

続いてCovariates 2nd-levelの設定です。
このCovariates 2nd-levelは、今設定しなくても大丈夫です。
(逆に言うと、これまで設定してきたものは最初に設定する必要があります。)
2nd levelのCovariatesは解析を進めていくなかで追加したくなるものもありますので、そのような親切な設計になっています。

ただ、今は、設定しましょう。

楽をしたいので、Matlabの方で少し準備を進めます。

まず、Matlabで現在のディレクトリを確認します。

pwd

で確認できます。

conn037

もし、conn_practiceのディレクトリにいないようでしたら、移動します。

そして、さらにその下のsampleディレクトリに移動します。

cd sample

この中にSubjects.txtというファイルがあります。
これはMatlabで読み込むことができるように工夫してあります。

これをMatlabで読み込み、subjという変数に代入しましょう。
変数名は何でもいいのですが、タイプすることを考えると短い方がいいでしょう。

Matlabから

subj=load('subjects.txt');

とすると、右側のワークスペースにsubjという変数ができているのがわかります。

subj

でその内容を見ることができます。

conn038

ここで、第1列は、IDなので実際は使いません。
第2列は、診断(健常者か統合失調症か)
第3列は、年齢
第4列は、性別(男性が1、女性が2)

となっています。

Matlabでは、変数の中で特定の列だけ使いたい場合は、

変数(:,その列)

という表し方をします。

今の場合、診断だけ取り出したいのであれば、

subj(:,2)

で表すことができます。

それで、CONNはMatlabで動くので、今作った変数をそのまま使うことができます。

それでは、CONNに戻ります。

左側のメニューからCovariates 2nd-levelに進みます。
(バージョン17からQAの結果がCovariates 2nd-levelに自動で入るようになりました。)

そして、画面中央の左側にあるCovariatesで”All Subjects”とある下をクリックします(何もないところです)。
そうすると、右側にenter covariates name hereと出てきます。

これから、診断と年齢と性別を順番にいれていきましょう。

まずは診断です。もともとのファイルには、健常者0、統合失調症1となっていますが、今後、群間比較することを考えて、controlという変数とpatientという変数を準備します。

まず、健常者から準備しましょう。

covariates nameを “control” とします。

[0 0 0 … 0 0 0]と0が20個並んでいますが、これを削除し、以下のようにタイプしてEnterキーを押してください。

subj(:,2)==0

subj(:,2)は先ほど出てきたものです。

subj(:,2)==0は、Matlabでの論理値というもので、0であれば真の値として1を、それ以外は偽の値ということで0を返すものです。つまり、今の場合、健常者は0なので、0であれば1にして、それ以外(といっても1しかないのですが)は0にするというものです。

また、画面下の方の”Description”には説明をつけられるようになっています。なので、今は”Control subjects”と入れておきましょう。

そうすると、下のようになるはずです。

次に、patientを準備します。

covariates nameを “patient” とします。

Valuesは

subj(:,2)==1

となります。

Descriptionは必須ではないのでいれなくてもいいでしょう。
ここでわざわざControlとPatientをわけておく理由は、後で群間比較をするためです。いわゆるダミー変数です。

同様に、年齢、性別も入れていきましょう。

年齢は
covariates name: age
values: subj(:,3)

性別は
covariates name: gender
values: subj(:,4)
Description: Male=1; Female=2

とします。

その結果、図のようになります。

Descriptionを書いておくと、項目名のすぐ右側にそのDescriptionが表示されるのですね。便利ですね。

ここまでできれば、共変量の設定はおしまいです。

CONNチュートリアル 09: Setup – Conditions and Covariates 1st-level

Setupの確認はあともう一息です。

左メニューから”Conditions”をクリックします。
rs-fMRIの場合、Conditionsはいじらなくて大丈夫です。
なのでこんな感じとだけ見ておきましょう。

その次に、”Covariates 1st-level”をクリックします。

画面中央のやや左に”realignment”, “QA_timeseries”, “scrubbing”の3つがあるのが見えます。

realignmentは位置合わせの情報を読み込んでいます。
translation(水平移動)とpitch(回転)に関して、x, y, z方向に頭がどれだけ動いたかの指標になります。

QA_timeseriesは外れ値に関しての情報です。2つの外れ値があります。ひとつが、信号値をZ変換した後に、各ボリュームの全体の値がどれだけ平均から外れているかであり、もうひとつが、頭の動きです。

scrubbingは、外れ値になるスキャンがどこになるかを示したものです。
この詳しい説明はいつかすることとします。

個人によっては動きが非常に激しい人がいることがわかります。(例Subject 16)
これも解析に加味されます。

CONNチュートリアル 08: Setup – Preprocessingの確認 (Structural, Functional, and ROIs)

それでは、前処理の結果、どうなったか確認しましょう。

左のメニューから”Structural”をクリックします。

そうすると、脳が頭蓋骨が除かれ、標準化された脳になっていることがわかります。

右側にマウスを持ってくると、赤枠で示すようなスクロールバーと、スクロールバーの上にある○印が出てきます。○印はクリックすると、Axial → Coronal → Sagittal と変化していきます。

次に、左のメニューから”Functional”をクリックします。

そうすると、当初は [150 Files]となっていたものが、今は[144 Files]となっていることに気づきます。前処理で最初の 6スキャンを除くとしていたことがここに反映されているわけですね。また、脳も標準化されています。

その次に、左のメニューから”ROIs”をクリックします。

そうすると、”Grey Matter”, “White Matter”, “CSF”, “atlas”, “network”というROIがあるのがわかります。GM, WM, CSFに関しては、segmentationの結果がそのまま反映されています。WM, CSFはこの後、”Denoising”に用いられます。

“atlas”および”dmn”はもともとCONNに用意されているものです。
これがどのように作られたのか、CONNの中にきちんと書かれています。
CONNがインストールされたディレクトリの中にroisというサブディレクトリがあり、”atlas.info”, “dmn.info”というファイルがあります。そこの記載を抜粋します。

まずは、”atlas.info”から。

ROIS defined from:

1) Cortical ROIs from FSL Harvard-Oxford Atlas maximum likelihood cortical atlas (HarvardOxford-cort-maxprob-thr25-1mm.nii); divided bilateral areas into left/right hemisphere; (91 ROIs)

2) Subcortical ROIs from FSL Harvard-Oxford Atlas maximum likelihood subcortical atlas (HarvardOxford-sub-maxprob-thr25-1mm.nii); disregarded Cerebral White Matter, Cerebral Cortex, and Lateral Ventrical areas; (15 ROIs)

3) Cerebellar parcelation from AAL Atlas (26 ROIs)

次に、”dmn.info”から。

Atlas of commonly used networks:
Default Mode Network (4 ROIs)
SensoriMotor (3 ROIs)
Visual (4 ROIs)
Salience / Cingulo-Opercular (7 ROIs)
DorsalAttention (4 ROIs)
FrontoParietal / Central Executive (4 ROIs)
Language (4 ROIs)
Cerebellar (2 ROIs)

ROIs defined from CONN’s ICA analyses of HCP dataset (497 subjects)

アトラスはてっきりAALと思い込んでいましたが、上をみると、違いますね。複数のアトラスをもとに構成されているということがわかりますね。

また、ネットワークはバージョン16では、dmnしかありませんでしたが、17eでは、複数のネットワークが準備されているということになります。

CONNチュートリアル 07: Setup – Preprocessing

これまで、構造画像、機能画像を指定してきました。
次に Setup -> ROIs に行かずに、画面左下にあるPreprocessingにうつります。

(前処理が終わっているという場合は、中級編になりますので、まずは、前処理をしていない状態で説明していきます)

まずは基本からいきましょう。
Preprocessingをクリックしたあと、最初に出てくる画面で、

default preprocessing pipeline for volume-based analyses (direct normalization to MNI-space)

になっていることを確認したうえで、

画面右側にある”Add”をクリックします。

そうすると、下図のようになります。

これは前処理の順番が記載されています。

  • functional Realignment & unwarp (subject motion estimation and correction)
  • 機能画像の位置合わせとunwarp (被験者の動きの評価および補正)を行います。

  • functional Center to (0,0,0) coordinates (translation)
  • これはAC-PC位置合わせの簡易版と思ってください。画像の原点を画像の重心に持ってきます。たいていの場合、これでAC-PCに比較的近いところにきます。ただ、これは万能ではありませんので、注意は必要です。

  • functional Slice-timing correction
  • 機能画像のスライスタイミング補正を行います。

  • functional Outlier detection (ART-based identification of outlier scans for scrubbing)
  • これは機能画像で頭が過度に動いてしまったようなスライスを検出するという機能です。scrubbingと言います。AFNIではcensoringと呼ばれています。ちなみに、outlierは外れ値という意味です。CONNではscrubbingにARTというプログラムを用いています。

  • functional Direct Segmentation & Normalization (simultaneous Gray/White/CSF segmentation and MNI normalization)
  • 機能画像のSegmentationと解剖学的標準化を行います。

  • structural Center to (0,0,0) coordinates (translation)
  • 先ほどと同様に構造画像も画像の原点を画像の重心に持ってきます。

  • structural Segmentation & Normalization (simultaneous Gray/White/CSF segmentation and MNI normalization)
  • 構造画像の分割化と標準化を行います。ここでの標準化はDARTELでなく、低次元の標準化であることに注意してください

  • functional Smoothing (spatial convolution with Gaussian kernel)
  • 機能画像の平滑化を行います。

デフォルトでは、この順番で行います。この内容を変えたければ、適宜右側にあるAdd, Remove, Move Up, Move Downを使っていけばいいわけです。

まずは基本でこのままでもいいのですが、最初のスキャンを省きましょう。
fMRIでは最初の数スキャンは磁場が安定しないため、取り除いた方がいいと言われています。今回のCOBREのデータは、最初の4スキャンはすでに除かれているということですが、さらに6スキャン(トータル10スキャン)除いてみましょう。

Data Preprocessing stepのところで先ほどまでDefaultだったものから、

functional Removal of initial scans (disregard initial functional scans)

を選択し、Addをクリックします。

一番下に追加されますので、Move upで一番上に持って行きましょう。
取り除くので、一番最初にしてしまった方がいいと思いますので…。

下図のようになるはずです。

これで前処理の準備ができました。
“Start” をクリックしましょう。

そうすると、最初に平滑化のパラメータを聞かれます。デフォルトのまま8でOKです。

conn024

次に、fMRIのスライスオーダーを聞かれます。
COBREのデータセットのスライスオーダーはSiemensのinterleavedですので、

interleaved (Siemens)

を選択します。

conn025

次に、最初の何スキャンを取り除くかの画面が出ます。
今、ここでは6としておきます。
そうすると、すでに取り除かれている4スキャンとこの6スキャンでトータル10スキャンが取り除かれることになります。TRが2秒ですから、20秒分取り除くことになります。どのくらいかというのはいろいろあるようですので、各ラボごとに決めたらよいと思います。

conn030

次に、外れ値の閾値を設定する画面が出ます。

かつては、”liberal”か”conservative”しかなかったのですが、最近のバージョンでは、”intermediate”が付け加わりました。

以下のような関係になっています。

liberal: Global signal はZ値に換算して 9SD まで、被験者の動きは、2mm までは許容する。
intermediate: Global signal はZ値に換算して 5SD まで、被験者の動きは、0.9mm までは許容する。
conservative: Global signal はZ値に換算して 3SD まで、被験者の動きは、0.5mm までは許容する。

正直、conservativeだと厳しすぎるし、liberalだとゆるすぎるなと思っていたので、intermediateがいいなと思います。
実際、conn17eでは、intermediateがデフォルトになっています。

メニューから、デフォルトの

Use intermediate settings (97th percentiles in normative sample)

を選択してください。

そうすると、下図のようなメッセージが表示され、前処理がはじまります。
私の環境(Core i7, メモリ16GB, Thinkpad X250, Lin4Neuro based on Ubuntu 14.04) のノートPCで20例で4時間でした。1例あたり10分〜15分程度という感じです。しばらくゆっくりするしましょう。

前処理が終わると以下のメッセージが出ます。

次で、前処理の結果を確認します。

CONNチュートリアル 06: Setup – Functional

Structuralに続いてfMRI画像を指定します。

Setup -> Functional といきます。

先ほどと同じ要領で、まず、画面真ん中のSubjectを選択します。

次に、画面右側のフィルタに

F.*.nii

と入力し、”Find”をクリックします。そうすると、Fではじまる画像が出てきます。

これで先ほどと同様に画像を選択し、”Select”とクリックすれば、画像が割り当てられ、先ほどと同様に下のダイアログが表示されます。

ここで画面中央のSubjectに戻り、クリックするとfMRI画像が表示されます。
マウスを画像の上に持ってくると、下のように、画像のファイル名などを見ることができます。これで、構造画像と機能画像が同じ順番で並んでいるかを確認してください。

ちなみに、画像を選択する場面で、右上にある”ALT Select”がなんだろうと思った方がいらっしゃるかもしれません。これをクリックすると、SPMのファイル選択画面が出てきます。SPMに慣れている方はこちらを使うのも手です。

conn020

CONNチュートリアル 05: Setup – Structural

SetupでBasic infoを入力した後は、Structuralをクリックします。

そうすると、下図のようになっているかと思います。

重要なのは、真ん中のエリアと右側のエリアです。

まず、真ん中のエリアで、
Subject 1 〜 Subject 20までをすべて選びます。

ここで全部選んでおくと、これから先でファイルを選択した際にデータが一度に各Subjectに割り当てられます。(楽するためのコツです)

次に、右側のエリアにマウスをもっていきます。そうすると何もなかったところに表示が出てきます。CONNはこのような隠しメニューがいろいろあります。作者の方のセンスなのだと思います。メニューがびっしりのAFNIと対照的ですね。

そうしたら、ファイルを選択しますが、2つ方法を示します。

  1. ディレクトリを丁寧に追っていく方法
  2. ここにはひとつひとつ示しませんが、画面の上にあるディレクトリ(オレンジ色で示されています)をダブルクリックしながらデータのあるディレクトリまで進んでいく方法です。

  3. フィルタを上手に使う方法
  4. こちらはよりスマートな方法です。
    今、構造画像はファイル名がVから始まる画像です。
    そして最後が.niiで終わりますので、
    正規表現を用いて表すならば、

    V.*.nii

    と表すことができます。
    ひとつ気をつけなければ行けないのは、ここはワイルドカードではなく、正規表現ということです。

    正規表現において、*は、「前の0回以上の繰り返し」という意味があります。

    なので、

    V*.nii

    としてしまうと、Vは全く意味がなくなり、

    「終わりがniiで終わるもの」

    という意味になってしまいます。

    一方、正規表現では、.は「任意の一文字」という意味になりますので、

    V.*.nii

    だと、

    「最初がVでその後が何でもよくて最後がniiで終わるもの」

    という意味になります。

    これを画面下に入力し、そして、そのちょっと上にある “Find” をクリックします。

    そうすると、確かに、Vではじまるファイルがならび、その下に “20 files found” と出てきます。これが確かにほしいものです。

    conn013

    ここで、Vから始まるファイルをすべて選択したうえで、”Select”をクリックします。

    そうすると、

    と出ますので、そのままOKをクリックします。

そうしたら、画面の真ん中に戻って、Subjectを適当にクリックしてみてください。画面にそれぞれ割り当てられた画像が表示されます。

これで、構造画像の指定は終わりました。